あなたが健康診断や病院の血液検査で気になる項目は何ですか?
血糖ですか?血圧、γ-GPT、コレステロール、中性脂肪…
全部、という方もいらっしゃるかもしれません。
どれも気にした方が良いのですが、血圧や血糖は人によっては下げすぎるとかえって体に悪い、ということもあります。
当てはまるのは、高齢の方です。あるいは、長年非常に高かった方です。
※合併症にもよるので、基準値は一概には言えません
血糖に関してですが、血糖に関しては、ACCORD試験やADVANCE試験という大規模試験で、血糖だけ厳格に下げても大血管疾患のリスクは下がらない、というような結果が出ています。
色々な研究でも、長年血糖が高かった人は、年齢を重ねてから厳密に適正な値に下げても悪影響が残りやすいとのことです。これは、「メタボリック・メモリー」や、「legacy effect(レガシー・エフェクト;遺産効果)」などと呼ばれます。
…レガシー・エフェクト、とか、遺産効果、とか、めちゃめちゃかっこいいな…!覚えておこう…!
と、新人の頃にこの言葉を初めてセミナーの講演で聞いた時思いました。
かっこいいですよね…?レガシー・エフェクトって響き。
レガシー・エフェクト!!(かっこいいので技名の様に言ってみる)
え、しつこいですか?でも、大事なことなんです。
もちろん、血糖が高かったことを血管は記憶していて、その後も影響が出てしまいます。
でも、まだ軽い内に適正値にしてあげれば、その良い影響も覚えていてくれるんです!
かっこいいだけじゃないんですよ、レガシー・エフェクトは。(もはやレガシー・エフェクトと言いたいだけ)
で、レガシー・エフェクトは、血圧や血糖において言えることの様なんですね。
しかし、ただひとつ下げれば下げるほどよいという血液検査の項目があります。
それは、LDLコレステロール(通称悪玉コレステロール)です!
赤ちゃんの時に一番低く、下げれば下げるほど予後が良かったそうなんです。その講演では、血液検査の結果が悪くなくても、今や予防的にスタチン(コレステロールを下げる効果の強い薬です)を飲む医師もいる、と言うような話題すらありました
※ちなみに、スタチンには横紋筋融解症という筋肉の分解が進む重大な合併症があるので、必要が無いのに飲むことや多めに飲むことは全くおすすめしません。筋肉痛が出たら処方した医師に早めに相談した方が良いです。
脂質異常症(いわゆる高脂血症)が気になる方は食前、糖尿病や食後高血糖が気になる方は食後1時間位の運動がおすすめですが、健康な方でも低血糖になることはあるので、食前の運動で冷や汗やめまいがでたら食後にすることをおすすめします。
運動すると筋肉にたくさん血流を必要なので、食後すぐに激しい運動をすると消化に必要な血流が足りなくなるおそれがあります。特に、心臓病をお持ちの方はその結果心臓の負担となることもあるため、食後30分、心不全の方は1時間を運動までに空けると安全と言われています。
ちなみに、中性脂肪というのは、脂肪という名称から脂っこいものを多く食べると上がりやすいと思われがちですが、果物や過剰な炭水化物の摂取で上がりやすいので要注意です。
果物に含まれる果糖が中性脂肪に変わりやすいんですね。
患者さんでも、果物が美味しい秋になると中性脂肪が高くなる方がたくさんいらっしゃいます。
特に、食べる時間が夜遅くなればなるほど変わりやすいので、中性脂肪の観点からは朝の摂取がおすすめです。日中は活動量も多いので消費しやすいですしね。
ところで、患者さんの中性脂肪が上がっている時に何を食べたか聞くと、「柿」と答える方がたくさんいらっしゃいます。
「最近の若い子は、柿を食べないから余っちゃってもったいなくて」
という方も非常に多いし、鈴なりの柿の木を放置しているご家庭も多い気がします。
最近の若い方は、あまり柿が好きじゃないという方が多いのですが、味覚の変化なんでしょうかね…?
いつか、大規模調査してみたいものです。
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