歯周病と心臓や血管の病気に関係がある?!

虫歯や歯周病が、心臓や血管の病気を引き起こしやすいというのは、心臓リハビリテーションの病院で得た知識です。でも、なぜ歯と心臓や血管が関係あるのだろう…?と思いませんか?私もいまいち理由は分かっていなかったので、この機会に調べてみました。

 

まず、歯周病についてです。前回の記事にも書きましたが、成人の約8割にあるそうです。歯と歯茎の間には通常1~2mmの溝があるのですが、そこに歯垢が溜まって歯肉に炎症を起こし、悪化すると歯を支える歯茎や骨まで破壊してしまうという、身近な癖に恐ろしい慢性の感染症です。

まず歯の表面に、細菌のかたまりである歯垢が付きますね。歯垢って、正直なかなか歯磨きでも落ちにくくありませんか?それなのに、歯垢は唾液中のミネラルと結合して、2日で歯石になるそうです。…早すぎませんか?!そんな勢いで歯と歯茎の溝の中でどんどん歯石作成が進行しているのですが、何せ溝の中なのでなかなか気づきません。しかも、たくさん歯垢、つまり最近のかたまりが集まって、外部から攻撃されにくいよう壁を作ってしまうんだそうです。また、歯石の表面は凸凹のため、さらに歯垢が付きやすく、あらたな歯石を増やす原因にもなります。そんなことが着々と進行していても、自覚症状としてはせいぜい歯肉が腫れたり、赤くなったりするくらいのことが多いようで、正直なところそんなのよくあることだと思って放っておきますよね?そして、レントゲンで自分の歯を見たことがある方なら想像がつくかと思いますが、意外と歯の根って、長いと言うか、深いというか、表面から見るよりずっと根深いです。ですから、「あれ?歯がグラグラするな…」と気づいた頃にはだいぶ進行してしまっている、という何気に恐ろしい病気です。
ちなみに、歯周病の初期なら歯磨きと歯科医での歯石除去で対応しますが、進行すると麻酔を使用して歯石除去となるそうです。

さて、本題の歯周病と心臓や血管の病気の関連性です。歯周病は、先に書いたとおり外部からの攻撃に耐える構造を持っている上に、歯と歯茎の間って、正直歯と歯茎の表面ってことですよね。ゲームの状況に例えると、「主人公は飛べないのに、敵は空中浮遊して強いバリア張ってる状態」みたいなものと思われます。だから、免疫細胞が普通に頑張っても攻撃しにくい場所にあるわけです。そのため、免疫細胞が過剰に働きすぎて過度の炎症反応を起こしてしまうことで、歯の周りの組織を壊してしまうそうです。すると、歯茎の表面がもろくなり、そこから細菌やその一部が体内に入ってきてしまい、血液の流れによって全身に広がってしまうおそれがあります。動脈硬化には、コレステロールが血管に沈着して起こる「粥状動脈硬化」という種類があるのですが、そこから歯周病菌が見つかったという報告も多いそうです。そして、「慢性の感染症」と書いたとおり、これが長い期間続きますので、長期間全身に炎症反応の影響も続いてしまうわけです。「炎症が起きてるぞ!」と体内に知らせる物質が出ていること、そして血流に乗って心臓や全身の血管に広まることで、その部分の免疫細胞が活性化することにより心臓や血管に悪影響を及ぼすとも考えられています。

また、細菌が血流に乗り、心臓の弁に感染・増殖する感染性心内膜炎という病気もあります。心臓の弁の働きが悪い方、あるいは人工弁に取り替えている方に発症リスクが高いと言われています。歯周病でも起こりえますが、「細菌が血流に乗る」原因として、出血を伴う歯科治療でも起こりうるとのことです。該当する方は、歯科医師か循環器医師に事前に相談し、感染予防の対策をを行うことが推奨されています。

他にも、心臓外科手術の前に歯科治療を医師から勧められることが多いなど、結構心臓と歯って関わりが深いです。ということは、歯をキレイに保つことで、心臓や血管の病気の予防にもつながるってことですよね!考え方によっては一石二鳥ですね。お口の健康も、心臓や血管の健康も守れると考えると、身近な歯みがきがより有意義に、あるいは楽しく感じられませんか?


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA