2018年10月3日放送のためしてガッテンの放映を見て思ったこと

2018年10月3日のためしてガッテンの放映、ご覧になりましたか?要は、スクワットをゆっくり行うことにより筋持久力トレーニングで筋のミトコンドリアを増やし、血糖値を下げようということだと思うのですが。リアルタイムで見ていて感じたのは、やはり楽して健康になる方法はあるんですね。そして、やはり楽じゃないと続かないな…と。もっと言うと、楽でも続かない、というのはありますね(笑)。その点で、日を決めて、集まって行う、というのはとてもいい習慣形成だと思いますが、同時に一人で好きな時に行えるトレーニング、という利点も失われるため悩ましいところです。

私が最初の病院で心リハを患者さんに「指導」する時、私の知っている知識は「~してはいけない」「~してはならない」「30分以上の有酸素運動を週3回以上」というのを、老若男女に伝道するのが仕事でした。膝が痛くて屋内生活が主な高齢女性にも、腰が痛くて長く歩けない高齢男性にも、生まれつき血管が避けやすくて手術を行った大学生にも、同様のことを伝えていました。もちろん私が勉強不足だったというのも大きいのですが、ガイドラインなどでも筋トレはあまり推奨されておらず、「有酸素運動こそが安全で効果的な運動。筋トレは心臓に負担をかけるので、行うとしてもごくごく軽いもの。そして、心臓や血管の病気を持つあらゆる患者は、30分以上、週3回以上の運動をしなければならない」と思っていましたし、その様な「指導」の風潮も職場にあった様に思います。ちなみに、運動嫌いな私も、やっと腰を上げてマニュアル通りの有酸素運動を開始しましたが、1か月も続きませんでしたね(笑)。自分にもできないのに、大なり小なり運動時に心臓などに負担を感じる患者さんがそれを実行できる、というのは、普通に考えても非現実的ですね。その後、もっと研究を積極的に行っていて、知識的にもかなり最先端に近い病院に移った時、筋トレ機器の充実ぶりに驚いたものです。それでも最初に教わった「筋トレは危険」という概念を払拭することが出来ず、しばらく有酸素運動信者ではありました。

それが今では立派な筋トレ信者です。こういった経緯もあり、不十分な心リハ知識を反省しておりますし、今後も勉強を継続していかなければと思っています。だって、こんなに楽で効果的かつ時間がかからない方法があるならば、第一選択ですよね。それで効果がなければ他のアプローチを取れば良いので、「健康=辛いことを習慣化する」なんて、そういう嗜好をお持ちの方以外はあまり望まれないと思うのです。

また、運動に対するイメージって、大体学生時代の体育や部活から来ていませんか?隣で見ていた家族が、「あんなにお尻引いていいんだ…部活の時は、逆に駄目だって言われてたのに」と呟いていました。その姿勢だと、スクワットのとき膝がつま先より前に出ることになるはずです。今でこそ、その姿勢は膝関節に負担がかかるため行わない様にと言われていますが、患者さんや、病院の先輩でもつま先より膝が前に出て行っている、あるいはそれを気にせず指導している人はいました(ちなみに、その先輩は自分でも膝に負担がかかるスクワットを行っていました)。確かに、その運動を指導された時はその膝に負担がかかるという知識は普及していなかったのかもしれません。でも、知らないままだとそれを自分で行う、あるいは身近な人に伝えてしまう可能性が大いにありますよね?という様に、今までの「当たり前」が、実はかなり有害だった、ということはざらにある話になってきます。ですから、我々が「楽して」「健康になる」ためには、「最先端の知識を追う」こと、そして「一つのことを信じすぎない」ことが重要かな、と思います。いつ、自分が教えられてきた、信じてきた基礎知識がひっくり返されるか分かりませんからね。色々な方法があることを楽しみつつ、ゆる~く、楽を追求して(笑)健康づくりを行ったほうが、ガチガチにああしなければ…こうしなければ…と健康を考えるよりもかえって健康な状態に近づきやすいということにもつながる、と私が考えるのは、そのためです。


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